第1回

非常開放装置について

◆はじめに

金庫室の内側に閉じ込められることに、強い恐怖を感じられるお客様が少なくありません。

この記事が参考となり、少しでも不安を和らげていただければと思い、このテーマを取り上げました。

 

◆非常開放装置とは

非常開装置とは、万が一金庫室の内側に閉じ込められた際、庫内側から扉を開けられる装置です。

金庫室内に人がいることに気づかないまま外側から施錠される事故を想定し、錠前の操作とカンヌキの操作を同時に行い扉を開ける仕組みになっています。

操作が「簡単」であることには理由があります。

閉じ込められた状況では精神状態が平常であるとは限りません。

普段なら容易な操作でも困難になる可能性があります。

そのため、我々の業界ではこの装置を「パニックハンドル」と呼ぶこともあります。

呼称からも用途をご理解いただけるのではないでしょうか。

 

◆非常開放装置のタイプ

当社で取り扱うタイプです。

参照になさってください。

【ワンハンドル型】

ハンドルを回すだけで開放が出来ます。

【ツーアクション型】

摘まみを持ち上げてから横へスライドさせると開放が出来ます。

 

◆非常開放装置の別の使い方

非常開放装置には、もう一つの利用方法があります。

強盗などの犯罪に遭遇した際、庫内へ避難し、救援が来るまで身を守るという使い方です。

これは、犯罪発生率の高い国外で発想された利用法です。

近年は、国内でも管理者が被害に遭う事件が発生しております。

一時的に逃げ込む「隙」を作る設備としての利用で、より安全性が高まる可能性があります。

 

◆閉じ込められない予防

非常開放装置はあくまで「非常時」に使用するものです。

使用する事態が起こらないことが、利用者にとって最も望ましいことに変わりはありません。

日常的にできる予防策は、扉を閉める際の『声かけ』です。

金庫室の内側まで聞こえる位置で、必ず『閉めます』と声を出し、数回確認してから扉を閉めてください。

私たちも作業時には必ず行っています。

過去には、庫内に誰もいないと思って声をかけたところ、慌てて人が出てきて閉じ込め事故を防げた経験が何度もあります。

地道ではありますが、非常に効果的な習慣です。

 

◆非常開放装置が無い方へ

どれだけ注意していても、事故は発生するものです。

非常開放装置は、安全確認を行っていても万が一閉じ込められた場合に備えるための設備です。

「心配だが、既存の扉に装備されていない」と不安に思われる方もいらっしゃると思います。

耐火性がある金庫室扉であれば、改造作業により後からでも取り付ける事が可能です。

改造作業は数日かかる場合がありますが、作業の区切りごとに施錠できるよう復旧することが可能です。

また、作業中も庫内への出入りができるよう配慮して施工を行います。

 

◆追加装備事例紹介

以下のような既存製品へ後から追加した事例をご紹介します。

宝田鉄扉製作所表記蔵扉へ非常開放装置の追加作業

 

◆おわりに

いかがでしたでしょうか?

慣れていない方にとって、庫内に閉じ込められることは強い恐怖を伴うものです。

非常開放装置が装備されていても、恐怖感は変わらないかもしれません。

そのような方には、年に数回、緊急訓練として実際に操作して慣れていただくことをおすすめしています。

装置が正常に動作するかを確認する点検としても有効です。

当記事を参考にして頂ければ幸いです。

当社は金庫室扉の製作を行う会社であり、機構部分は得意分野です。

非常開放装置に関するお困りごとがございましたら、どうぞ当社へご相談ください。

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