第12回

開かない窓扉について

◆窓扉とは

古い質蔵には、換気の為の耐火性能を有する窓扉が設けてある場合が多くあります。

時代が変わっても質蔵では、湿気やカビに弱い物を保管する事は変わらないようです。

昔は空調設備が発達していなかったので、耐火性能を有する窓扉が設けられる場合が一般的でした。

窓扉は湿気調整や防カビ対策で、重要な役割を担っていました。

窓扉は大抵、鉄で出来ています。

数十年経った製品を所有されるお客様との会話で「窓扉が開かなくなってしまった」と頻繁に話題に上がります。

開かずの窓扉が多いように思います。

開かずの窓扉にならない為の対策、成ってしまってからの対応をご紹介したいと思います。

 

◆開かずの窓扉になる過程

今では空調設備が発達した事により、設けられるお客様は減少しているように思います。

窓扉が設けられている昔の質蔵であっても、空調設備の設置により使用しなくなる場合があるようです。

久しぶりに開けようとした時に『開きにくい』『開かない』という場合が多いようです。

皆さんは『開きにくい』段階では『まだ開く状況』と『現在は使用しない状況』で修理を行わない方が多いようです。

『開きにくい』この段階が開かずの窓扉になるかの別れ道です。

 

◆原因

原因としては、扉や扉枠の腐食や丁番部の異常が考えられます。

『開きにくい』の段階で扉の腐食や丁番部の異常は始まっています。

扉の腐食の場合は腐食により、扉と扉枠の隙間が少なくなり接触してしまっている事が多く見られます。

放置して良く成る事はありません。

 

◆対応

開かなくなるまで放置してしまった場合は、無理に開けない事をお勧めしております。

窓扉の腐食の最悪の場合は、無理に開けてしまうと閉まらなくなります。

注意が必要です。

どうしても開ける場合は、必ず自身では無理に開けずに技術者に相談しましょう。

 

◆被害規模

極まった状態としては、状況判断が出来ない状態で無理に開けると扉の下部分が脱落してしまいます。

その場合は、耐火材が出てしまう事もあります。

この状態は、我々でも修理では対応できない可能性があります。

 

◆予防

窓扉の異常に関しては、早い段階での処置や定期点検による早期発見が効果的です。

お金をかけずに出来る簡単な方法としては、空調設備を使用していて窓扉を利用しなくなっても定期的に開閉して動かす事です。

異常の早期発見の効果があります。

腐食してボロボロに成った鉄は元には戻りません。

異常状態にしない事をお勧めしています。

 

◆窓扉の修理事例

窓扉の腐食を修理した事例のご紹介です。

【黒田表記質蔵窓扉の修理】

 

◆おわりに

窓扉は安い物ではありません。

早い段階での処置や定期点検による早期発見で、末永く利用して頂くためにこの記事を利用して頂ければと思います。

保守点検の効果】も参照下さい。

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