◆はじめに
吉川製造表記の蔵の入口扉の錠前交換の作業事例のご紹介です。
◆作業前の状況
錠前のみを使用して符号錠を使用せず、施錠して運用されておりました。
【符号錠(ダイヤル錠)を使用しない危険性】も参考にしてみて下さい。
鍵が1本しかないので複製をご要望でした。
複数本あるはずの他の鍵の所在は不明との事でした。
鍵の所在が不明の場合は、紛失として対応いたします。
◆鍵の紛失への対応方法
この件は、錠前自体の交換をご提案させて頂きました。
鍵を紛失した場合は、以下のような事を想定する必要があります。
・管理者以外が鍵を所持している可能性。
・想定しない複製が存在する可能性。
紛失した鍵の不正な利用を防ぐ必要があります。
鍵の複製ではなく、錠前自体を交換して以前の鍵が使えないようにします。
◆扉の機構部分の改造を含む錠前の交換を選択
以下の理由から扉の機構部分の改造を含む錠前の交換で対応しました。
・既存の錠前は、80年以上前の製品なので市販はされておりません。
・80年以上昔の部品なので、性能が現代の情勢に適応しておりません。
・既存の錠前の部品を交換して対応する方法も考えられました。
他の古い部品が破損する可能性が考えられます。
品質保証の関係で選択しませんでした。
・現行の錠前を取り付ける場合、寸法が違うので改造が必要でした。
◆扉の機構部分の改造
製品の製作と同じ手順で扉の機構部分の改造を行いました。
機構部分を実測した寸法を基に設計を行います。
必要な部品を製作して、揃えて組立てます。
この製品が製造された時代は、現在のように電力を使う溶接が普及していませんでした。
接合には、画像のようなリベットを用いる事が多くありました。
リベットをかしめ(ハンマーでつぶし)て、画像のように接合します。
・側面画像
・かしめた方の画像
・リベットの頭の側の画像
今回の扉の機構部分の改造の際も同じ手法を用いて接合いたしました。
◆おわりに
個人的な感想ですが、古い製品の扉の機構部分と接する作業は心地がいいです。
我々にとって機構部分のリベットをハンマーでかしめる音は子守歌です。
今も工場にリベットをかしめる音が響き渡る事は、幸せな事だと再確認いたしました。
【吉川製造】表記の製品でお困りの際は、当社へご相談ください。
掲載の許可を頂いたお客様へこの場を借りてお礼を申し上げます。
※施工事例の紹介と画像の使用は、お客様の同意を得て掲載しております。