第7回

擬宝珠(ギボシ)の話

◆擬宝珠(ギボシ)とは

伝統的な建築物の装飾で、橋や神社・寺院の階段などの柱の上に設けられた飾りの事です。

金庫業界のギボシは丁番の上下に付いている飾りの事です。

昔のデザインの置き金庫や質蔵扉などには付いています。

 

◆擬宝珠(ギボシ)の役割

結果から言いますと穴を隠す役割を担っていました。

以前、一般的に使用されていた丁番は鋼板を変形させて丸める工法で作られる場合が多く見られました。

その為、丁番の上下の末端に【鋼板を丸める工法の丁番】の画像のように穴が開いてしまいます。

【鋼板を丸める工法の丁番】の画像のような穴に、直接擬宝珠を付ける場合や一度鋼材で穴を埋めてからネジを加工する場合などが一般的でした。

現在は鋼材から切削加工で削り出した丁番が、採用される事が多くなっています。

必要のない穴が無くなり採用される機会が減りました。

 

◆おわりに

個人的な意見ですが擬宝珠(ギボシ)で丁番を挟むと、メリハリが出て迫力が出る印象があります。

  

 

飾りなのでなくても全く支障はありません。

しかし、飾りのない扉はかなり無機質で殺伐としたイメージで効率性を重視する現代を映し出しているような印象を受けております。

現在もお客様の中には家紋を付けられたり、鮮やかな色の塗装色を選ばれたりする方もいらっしゃいます。

その様な仕事は、我々もやりがいがあります。

なによりも完成した製品に満足してお客様を見ていると我々まで嬉しくなります。

飾りをつける事や塗装色にこだわる事は些細な事です。

置き金庫・質蔵扉・金庫室扉は一生物なので少し見た目を意識して楽しむのはいかがでしょうか。